今日の出来事などを

湯のみのぬくもりに残る時間

朝食の終わり頃、祖母が湯のみを両手で包む姿を、私はよく眺めていた。湯気に包まれたその手つきは、とても静かで、どこか時間を止めているようにも見えた。祖母は多くを語らず、ただそこに座っているだけだったが、その存在は家族にとって欠かせないものだっ...
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ちゃぶ台を囲む、五人の距離

ちゃぶ台を囲むと、自然と五人の距離は近くなる。昭和四十年代の我が家では、それが当たり前だった。膝と膝が触れそうなほどの近さで、家族は朝食をとっていた。今なら窮屈に感じるかもしれないが、当時はその近さが心地よかった。母が運んでくる味噌汁から湯...
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割烹着の背中が教えてくれたこと

朝の台所に立つ母の背中を、私は何度見てきただろうか。着物の上に羽織った割烹着は、決して新しいものではなかったが、いつも清潔で、母の手の動きにすっと馴染んでいた。まな板の音に合わせて、家の一日が静かに動き始める。その様子を、私は居間の隅から何...
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音で始まる、家の朝

朝、目を覚ます前から、台所のまな板の音が耳に届いていた。一定の調子で、包丁が木に当たる乾いた音。そのリズムは、昭和四十年代の我が家にとって、目覚まし時計の代わりのようなものだった。布団の中で目を閉じたまま、その音を聞いていると、「今日も変わ...
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静かな水曜日、昭和回想の始まり

今日は水曜日。特別な予定はないが、だからこそ一日を丁寧に感じられた。低い空、冷たい空気、溶けた雪の匂い。こうした何気ない感覚が、昭和の記憶を呼び起こすきっかけになる。昭和回想をシリーズとして続けていこうと思う。あの時代の不便さ、素朴さ、人と...
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雪解けの道と、一年の足跡

朝の雪は、昼前にはほとんど姿を消していた。道路は濡れ、白かった記憶だけが心に残る。雪解けの道を見ていると、今年一年の出来事もまた、同じように形を変えながら心に残っているのだと感じた。昭和の頃、冬の雪はすぐに消えるどころか、一晩で背丈ほども積...
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低い気温と、温かな記憶

気温は朝から上がらず、手を洗う水も冷たかった。ストーブの前で手を温めながら、ふと昭和の冬の居間を思い出す。石油ストーブの上でやかんが鳴り、湯気が天井へと昇っていく。テレビからは演歌やニュースが流れ、家族それぞれが無言でも同じ空間にいる安心感...
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雪の朝、昭和の玄関先を思い出す

朝、目を覚まして障子越しに感じた空気が、いつもよりひんやりとしていた。カーテンを開けると、夜のうちに降った雪が道路を薄く覆い、白い線のように街を縁取っていた。音の少ない朝だった。車の走る音も控えめで、世界全体が少し息をひそめているように感じ...