今日の出来事などを

石炭の匂いが教えてくれたこと

石炭の匂いは、今ではほとんど感じることがない。あの匂いは、冬そのものだった。服にも手にも、ほんのりと残る。決して良い香りとは言えないかもしれないが、私にとっては懐かしさの象徴だ。ストーブの上では、やかんが鳴り、母の味噌汁が温められる。外では...
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雪の広場は、冬の遊び場だった

冬になると、家の近くの広場は一面の雪に覆われた。大人にとってはただ寒いだけの場所だったかもしれない。だが、子どもだった私にとっては特別な遊び場だった。真っ白な雪を踏みしめると、きゅっきゅっと音が鳴る。その感触が面白くて、何度も歩き回った。雪...
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灰を集めるおじさんと、冬の道の匂い

家の近くには、石炭の灰を置く場所があった。しばらくすると、灰を集めに来るおじさんが現れる。大きなそりを引いて、ゆっくりとやって来る。そりの上には、すでにいくつもの灰が積まれている。私は友だちと顔を見合わせ、こっそり後をついていく。おじさんは...
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母の火起こしから始まる冬 〜石炭ストーブの朝〜

昭和の冬の朝は、母の小さな音から始まった。まだ布団の中で丸くなっていると、台所のほうからカチャカチャと金具の触れ合う音がする。石炭ストーブに火を入れる準備の音だ。母は慣れた手つきで新聞紙を丸め、薪を少し置き、その上に石炭をのせる。そして静か...
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こたつの湯気と、雪下ろしの勲章

雪下ろしを終えて家に入ると、台所から味噌汁の香りが漂ってきた。冷えた体に、その湯気がどれほどありがたかったことか。こたつに足を入れると、全身の力が抜ける。「ご苦労さん」母の何気ない一言が、胸にじんわり広がる。あの頃は、特別なご褒美があったわ...
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どさり!と落ちる雪と、ぼくの自信

雪を屋根から押し出すと、「どさり」と重たい音が響く。その音は、達成の音だった。雪は思った以上に重い。最初は面白半分でも、次第に腕がだるくなる。それでも、途中でやめるという発想はなかった。やり切ることが当たり前だった。私は、雪の塊が地面に落ち...
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柵を渡る小さな冒険家

隣の畑との境にあった柵は、私にとって秘密の通路だった。手袋をはめた手でぎゅっと握り、慎重に、しかし誇らしげに進む。納屋の屋根に足をかける瞬間は、少し緊張した。けれど、登り切ったあとの達成感は格別だった。今の子供たちは、きっと「危ない」と言わ...
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屋根の上は、ぼくの秘密基地だった

朝、目を覚ますと、障子越しの光がやけに明るかった。外に出ると、世界が真っ白に塗り替えられている。あの瞬間の胸の高鳴りは、今思い出しても不思議なくらい鮮やかだ。昭和の冬。私がまだ小学生だったころ、雪はただの厄介者ではなかった。家は平屋建て。子...