今日の出来事などを

長男の誇りと、半分こにした焼きおにぎり

長男として、どこかで「我慢しなきゃ」と思っていた。でも本当は、妹や弟と同じように甘えたかった。焼きたてのおにぎりを頬張るときだけは、その気持ちがほどけた。半分に割ったおにぎりを妹や弟に渡すと、心が満たされた。自分の分が減るのに、なぜか嬉しか...
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味噌と醤油が焦げる音は、冬の子守歌だった

醤油が焦げる匂いを思い出すと、懐かしさで胸がいっぱいになる。あの香りは、ただの匂いではない。家族がそろっている安心の証だった。寒い外から帰ってきても、その匂いを嗅げば「帰る場所がある」と心から思えた。人の記憶は不思議だ。写真よりも、言葉より...
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お米屋さんの自転車が運んできた、しあわせの白い粒

「お米屋さんが来たよ」という母の声に、なぜか胸が高鳴った。今のようにスーパーが並ぶ時代ではなく、あの頃はお米はお米屋さんから買うものだった。白い袋を抱えて帰る母の後ろ姿に、生活の重みと安心が同時に漂っていた。あの白い粒一つひとつが、私たちの...
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石炭ストーブの上で踊る、おにぎりの湯気

石炭ストーブの赤い火を見つめると、胸の奥がじんわり温かくなる。あの頃の冬は寒かったはずなのに、思い出の中の私は不思議と寒さを感じていない。代わりに、母の手の温もりと、おにぎりの湯気が心を包んでいる。長男として「しっかりしなきゃ」と思いながら...
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何も入っていない白い餅 ― いちばん素朴で、いちばん贅沢

具の入っていない白いお餅は、一見地味だった。でも、焼いて醤油をつけ、海苔で巻いた瞬間、主役に変わる。その変化がうれしかった。香ばしさと磯の香りが混ざると、胸がいっぱいになる。飾らなくてもおいしい。足さなくても満たされる。そんなことを、白い餅...
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よもぎの香りと冬の夕暮れ ― 緑色の記憶をかじる

よもぎ餅の香りは、どこか土の匂いを含んでいた。外は雪景色でも、よもぎの緑を見ると春を感じる。不思議な安心感があった。石炭ストーブの赤い火と、よもぎ餅のやわらかな緑。色の対比まで、今も鮮やかに思い出せる。子どもの頃は気づかなかったが、よもぎを...
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豆餅と兄妹げんか ― ひとつ多く食べたい冬の攻防戦

豆餅は特別だった。ゴロゴロと入った豆の塩気がたまらなく好きで、焼けるのを待つ時間がもどかしかった。兄妹で数を数えながら、「どれが一番大きいか」と目を光らせる。少しでも大きいものを取りたい。そんな小さな欲張りが、冬の台所をにぎやかにしていた。...
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石炭ストーブの上の小さなごちそう ― 昭和の冬、餅がふくらむ音を待ちながら

石炭ストーブの上で焼けるお餅の匂いを思い出すと、胸の奥がじんわりとあたたかくなる。冬の冷たい空気の中で、あの香ばしい匂いはまるで小さな幸せの合図だった。ぱちぱちと石炭がはぜる音、じりじりと焼ける餅の膨らみ。あの時間は、ただ待つだけなのに、ど...