今日の出来事などを

あのカレーの湯気は、今も心を温める

今、あの時代を振り返ると、不思議と苦労よりも温かさが先に浮かぶ。両親が忙しく働いてくれたこと。三人で肩を寄せ合ったこと。拭き掃除で床を光らせたこと。そして、あのカレー。じゃがいもが大きすぎて煮崩れしなかったことも、粉が溶けきらずに少しダマに...
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じゃがいもは大きく切れ ― 母の教えは台所にあり

母のカレーは、特別だった。特別な材料が入っていたわけではない。でも、どうしても同じ味にならない。じゃがいもは大きく切る。玉ねぎは透き通るまで炒める。肉は焦がさない。母の背中を思い出しながら、私は鍋を見つめる。最中の中に入ったカレールーを割る...
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三人の留守番隊、夕暮れの作戦会議

夕方の家は、どこか寂しかった。時計の音がやけに大きく響く。妹は窓の外を見ていた。弟は畳に寝転び、天井の木目を数えている。両親が帰るまでの時間は、私たちにとって少しだけ長い試練だった。「今日は何して待つ?」私がそう言うと、妹がぱっと振り向いた...
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小さな父ちゃん、台所に立つ ― 昭和のカレー戦争

昭和の小学生だった私は、長男というだけで少しだけ大人の役目を背負っていた。両親は共働き。妹と弟の三人で、家に取り残される午後は決して珍しくなかった。今思えば、まだランドセルが似合う年頃の私に、家事という言葉は重すぎたかもしれない。それでも、...
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石炭の匂いが教えてくれたこと

石炭の匂いは、今ではほとんど感じることがない。あの匂いは、冬そのものだった。服にも手にも、ほんのりと残る。決して良い香りとは言えないかもしれないが、私にとっては懐かしさの象徴だ。ストーブの上では、やかんが鳴り、母の味噌汁が温められる。外では...
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雪の広場は、冬の遊び場だった

冬になると、家の近くの広場は一面の雪に覆われた。大人にとってはただ寒いだけの場所だったかもしれない。だが、子どもだった私にとっては特別な遊び場だった。真っ白な雪を踏みしめると、きゅっきゅっと音が鳴る。その感触が面白くて、何度も歩き回った。雪...
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灰を集めるおじさんと、冬の道の匂い

家の近くには、石炭の灰を置く場所があった。しばらくすると、灰を集めに来るおじさんが現れる。大きなそりを引いて、ゆっくりとやって来る。そりの上には、すでにいくつもの灰が積まれている。私は友だちと顔を見合わせ、こっそり後をついていく。おじさんは...
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母の火起こしから始まる冬 〜石炭ストーブの朝〜

昭和の冬の朝は、母の小さな音から始まった。まだ布団の中で丸くなっていると、台所のほうからカチャカチャと金具の触れ合う音がする。石炭ストーブに火を入れる準備の音だ。母は慣れた手つきで新聞紙を丸め、薪を少し置き、その上に石炭をのせる。そして静か...