エストロジェンとプロジェステロン
女性ホルモンは卵巣で合成されるホルモンで、
卵胞ホルモン(エストロジェン)、黄体ホルモン(プロジェステロン)などがあり、
いずれもコレステロールをもとに作られるステロイドホルモンです。
卵巣は皮質と髄質よりなり、皮質には卵胞(原始卵胞、グラーフ卵胞など)、黄体など。
卵胞からは卵胞ホルモンが、黄体からは黄体ホルモンが分泌され、髄質は血管組織で占められている。
卵胞ホルモン(エストロジェン)
卵胞ホルモンを総称してエストロジェンといい、エストラジオール、エストロンおよびエストリオールの
3種がその代表的なもので、生理作用はエストタジオール、エストロン、エストリオールの順に強い。
エストロジェンは
- 卵胞の発育を促す
- 卵胞運動を高め、卵子の子宮腔への輸送を助ける
- 子宮内膜(粘膜)を腔上皮の増殖を促す
- 卵腺の発育を促進する
- 女性の第二次性徴の発現(乳房の発達、骨格の女性化、皮下脂肪の沈着など)を促す
- 性欲を亢進させる
黄体ホルモン(プロジェステロン)
黄体ホルモンの主なものはプロジェステロン
- 黄体ホルモンの主なものはプロジェステロン
- 受精卵の着床を容易にし、妊娠を維持する作用を持つ(子宮内膜の腺分泌亢進)
- 乳腺の発育を促す
- 排卵を抑制する
- 体温上昇作用、皮脂の分泌やメラミンの産生を活発にする
これら2つのホルモンの分泌量の変化によって、月経周期が成り立っています。
エストロジェンの分泌が多い時期には、肌が潤い、余分な皮脂の分泌が抑えられ、正常な肌の状態に。
プロジェステロンの分泌が多い時期には、皮脂の分泌が増え、メラニンを産生する働きが活発になり、
ニキビやくすみなど肌のトラブルが起こりやすくなります。
月経期間 1週目〜2週間目
2つの女性ホルモンの分泌が少ない時期。
皮脂分泌が低下して、肌は敏感で乾燥気味になり、この時期は、しっかり保湿を心がけてください。
月経から排卵 2週目〜3週目
エストロジェンの分泌量が増える時期で、肌や髪にハリやツヤが出て、
肌の状態は安定していますが、部分的な乾燥に注意してください。
排卵後 3週目
プロジェステロンの分泌量が増え始めるころで、
顔がむくんだり火照ったりして、肌の状態も下降する時期です。
肌がベタつきやすいので、ていねいな洗顔を心がけてください。
月経前 4週目
プロジェステロンの分泌量がピークを迎える時期。
皮脂分泌やメラニン産生が活発になり、ニキビ、しみができやすく、
肌のコンディションも崩れやすい時期。
頭痛、肩こり、便秘、むくみなど、月経前症候群(PMS)によって、肌だけでなく
体調・精神状態も不安定になりがちな時期は、より一層肌を清潔に保つようにしてください。
女性ホルモンの年齢的な影響
30才後半を過ぎたころから肌トラブルが増えた、という女性は
30才後半は性ホルモンが下降を始める時期です。
女性は思春期から、妊娠、出産、更年期と、一生を通じて
女性ホルモンの強い影響を受けつづけます。
女性ホルモン分泌のピークは25才ころで、20才代から30才代は安定した時期です。
30代後半から40代になると、女性ホルモンの分泌は下降していき、
更年期には、さらに女性ホルモンの減少やバランスの乱れが大きくなります。
エストロジェンの減少が大きくなる、新しい細胞を作り出す
表皮の新陳代謝が鈍くなり、表皮が萎縮します。
エストロジェンが減少すると、コラーゲンも減少し、肌は弾力がなくなり、
薄くなり、深いしわ=表情線ができます。
そして、女性ホルモンが減少することで、男性ホルモンとのバランスが崩れ、
女性も体内で男性ホルモンが作られているので、男性ホルモンの影響が強くなると、
皮脂分泌量が増える、肌が荒れる、体毛が濃くなることがあります。
男性のホルモン
男性も女性と同様に、性ホルモンの分泌が体や肌のコンディションを左右します。
男性ホルモンは、主に皮脂分泌の関与して、男性ホルモンの分泌が高まり
皮脂の分泌が増えた状態が、脂性で、この時期はニキビできやすく、
ひどい場合には、背中からお尻までニキビができ、治療が必要になります。
この時期は皮脂腺が活発になり、皮脂のキメが粗くなり、
毛穴が目立つようになり、皮脂自体は厚みをもって強くなります。
男性ホルモンは、思春期に分泌量が急激に増え、30代でピークを迎え、
65才くらいまではほぼ安定していくので、女性のような急激なホルモン分泌変化の
影響は見られませんが、30才くらいから男性ホルモンのバランスが
崩れることも珍しくなく、女性と同様に更年期障害を男性にも起こります。
ホルモンとは関係ない皮膚の老化
皮膚はホルモンの影響を大きく受けてはいますが、
皮膚の老化は性ホルモンとは関係なく進みます。
活性酸素などの影響で細胞膜の脂質やたんぱく質が変化して、
この物質が蓄積して、組織を再生させる働きをする
成長ホルモンが減少することによって、皮膚は衰えていきます。
長年、過度な日光にさらされていると、真皮の中の
コラーゲンとエラスチンが壊され、弾力が失われていきます。
そのほか、年齢を重ねると、皮膚のたんぱく質や天然保湿因子(NMF)、
細胞間脂質も減少し、保湿力が衰えて乾燥肌になり、肌のトラブルが起こりやすくなります。