痛みなどの症状をとるために
鎮痛薬、漢方薬などを用いる対症療法があります。
内膜症そのものの治療効果が上がれば症状も治まるわけで、ホルモン療法でも痛みやその他の症状に対して効き目があります。
ただし、実際に薬物療法を行なう場合には、ホルモン療法と鎮痛薬、ホルモン療法と漢方薬、鎮痛薬というように、いくつかの薬を併用することも少なくありません。
ホルモン療法
女性ホルモン薬や女性ホルモンの分泌に関わるホルモン薬を外から入れることで、体のなかのホルモンバランスをコントロールし、内膜組織の増殖を抑える治療法です。
ホルモン療法は、基本的に安全な治療法です。
ときには、血栓症や乳がん、子宮頚がんなどにかかるリスクを高める場合があります。
これらのホルモン薬を使う前には、血栓症やがんがないか検査をする必要があります。
ホルモン薬を使用中にも、定期的な検査を行ないます。
ホルモン薬の中には、高血圧の方、喫煙している方(1日35本以上)、がんの疑いのある方には、使用できないものもあります。
低用量ピル、中用量ピル
経口避妊薬。
エストロゲンとプロゲステロン合剤で、排卵周期を抑制する働きがあり、偽妊娠状態を作り出して、内膜組織の増殖を防ぎます。
これまで低用量ピルの子宮内膜症への作用は副作用と呼ばれ、健康保健の適用にはなっていませんでした。
2008年の春から、低用量ピルの一種ノルエチステロン、エキニルエストラジオール製剤(ルナベル)が健康保健の適応になります。
中用量ピルは低用量ピルより、ホルモン量が多い分、副作用が強く現われます。
低用量ピルは、中枢神経に作用して排卵が起こらないようにし、偽妊娠状態を作り出すことで、卵巣の働きを抑えます。
結果、内膜組織の増殖を防ぎますが、病巣の縮小よりはむしろ、鎮痛効果の方が期待できるといわれています。
日本産科婦人科学会は、低用量ピルが子宮内膜症の状態を改善すると認めています。
訴求内膜症の治療に用いられる低用量ピルは、1相性のもので(低用量ピルには3相性のものもあります)、服用期間には制限がなく、ずっと飲み続けることができます。
副作用は、頭痛と乳房の張り、不正出血など、飲み始めたときは症状が強く出ますが、1〜2ヶ月すると次第に弱まってくるのが特徴です。
血栓症の危険があるので、たばこを吸う人、肥満の人、血圧が高い人などには、向きませんが、比較的年齢が若い女性であれば、重い副作用の心配がある従来のホルモン薬よりも、まず低用量ピルを用いた方がよいかもしれません。
対症療法
鎮痛薬(非ステロイド系抗炎症薬)
子宮内膜症の方が痛みを強く訴えるのは、内膜組織からプロスタグランジンという痛みを発生させる物質がたくさん出るためです。
このプロスタグランジンの発生を抑えて、痛みをやわらげるのが、非ステロイド系抗炎症薬です。
鎮痛薬の副作用で大きな問題になるのは、胃腸障害です。
子宮内膜症の治療で使う場合は、月経時の痛みが出てときに服用するだけの頓服として使用し、常時、飲み続けるわけだはありません。
胃腸障害が起こりにくいタイプの鎮痛薬も、手に入れることができ、医師の処方箋が必要です。
抗うつ薬、睡眠改善薬、ビタミンE剤
月経時の痛み以外に出てくるつらい症状を抑えるために、薬を用いることがあります。
気分の落ち込みや、イライラを抑えるための抗うつ薬やEPA(エイコサペンタエン酸)剤、月経前の睡眠障害を改善する睡眠改善薬、子宮への血液循環をよくするためのビタミンE剤など。